労働生産性の向上のためにできることは?健康経営支援 | update: 2023.03.13
労働生産性向上とは?
労働生産性向上とは、従業員や労働者が同じ時間枠内でより多くの仕事をすることができるように、生産性を改善することを指します。つまり、より少ない労力やリソースでより多くの成果を生み出すことを目指しています。
労働生産性向上は、企業の業績向上や競争力の向上につながるとともに、従業員の生産性や仕事のやりがいを高めることができます。また、国家レベルでも、労働生産性向上は経済成長の促進や国際競争力の向上につながると考えられています。
労働生産性向上のためには何ができる?
労働生産性の向上というと、以下のようなものがあります。
- 生産プロセスの改善:生産ラインの改善や工程の最適化、品質管理の改善など、生産プロセスの改善により、生産効率を向上させることができます。
- 技能向上の推進:従業員の技能向上や教育研修の充実、職場環境の改善などによって、労働生産性を高めることができます。
- 技術導入:新しい機器やシステムを導入することによって、作業効率の向上や品質の向上を図ることができます。例えば、自動化やロボット導入によって、生産ラインを効率化することができます。
- 働き方改革:柔軟な働き方の導入やワークライフバランスの改善により、従業員の生産性を向上させることができます。
- ワークフローの見直し:業務プロセスの見直しや改善によって、生産性の向上を図ることができます。
- 資金・設備投資:生産に必要な設備や資金の投資を行うことにより、生産力の向上を図ることができます。
しかし、それ以外にも体調不良に伴う労働生産性の損失を考慮する必要があります。
アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム
体調不良が起きると、もちろんお分かりだと思いますが、パフォーマンスが低下したり業務が行えなくなります。そういった状態を表す言葉として、「アブセンティーイズム」「プレゼンティーイズム」というものがあります。
アブセンティーイズムとは?
体調不良によって会社を休む状況
プレゼンティーイズムとは?
出勤はしているものの体調がすぐれず、生産性が低下している状態
アブセンティーイズムではもちろん休業などにより経済的損失は出現します。それだけでなく、数多くの研究によれば、プレゼンティーイズムによって企業には見えない労働損失(労働生産性の低下による経済的損失)が発生しており、その額は医療費や病気休業にかかる費用よりも大きいとされています。
アブセンティーイズム、プレゼンティーイズムは心身の健康状態や生活習慣が悪い従業員ほど高まえる傾向が確認されています。
吉井ら1)によると、アブセンティーイズムについては、健康リスクレベルがある臨界点を超えたところで一気に上昇する様子がうかがえることから、顕在化したリスク者がリスク化しないための取り組みが重要であることがわかりました。
一方、プレゼンティーイズムに関しては、健康リスクの上昇にともなって増加する構造であることから、若年層を含めた健康リスクレベルが低い段階からの働きかけが有用であると言えます。
それと合わせて、回答者の同意をえて取得した報酬年額により労働生産性の損失コストを推計したところ、アブセンティーイズムとプレゼンティーイズムによる損失コストは低リスクレベルの従業員が年間絵卑近59万円であることに対して、高リスクレベルの従業員は平均172万円であり、役3倍の損失コストが発生していることが確認されました。このように経営的な視点からも、従業員の体調管理、改善は重要であることがわかります。
では、どのように対策を行なっていけば良いのでしょうか。それは次回解説したいと思います。
ありがとうございました。
1)吉井雄二 他:中小企業における労働生産性の損失とその影響要因:日本労働研究雑誌、2018